2012年2月14日火曜日

生まれる好循環、上下関係の必要性[静岡]

昨今、少子化です。
そして一人っ子が多いですね。
一人っ子の良さは、親が存分に手をかけられることでしょうか。
不景気が続く今、経済的にも助かります。
そんな時代でも多くのお子さんを生み育てている方もいます。
以前ご紹介しましたが、静岡では4人兄弟が参加しています。

年上は年下の手本となるよう、態度で示し、面倒をよく見、
年下は年上の言うことをよく聞いて、手本となる年上をよく見習う。

この兄弟たちは大変シンプルに、このことを無意識の行動で教えてくれます。
これって当たり前のようで、兄弟のいないお子さんにとっては
普段の生活では遭遇しない状況のようです。
また、そういった意識を持たせることを、昔ほどしないのでしょうか。
とても大切なことなのですが、当たり前ではない場面を多々見ることがあります。
みなが平等、優劣をなるべくつけない、といった教育的風潮が、
思わぬところまで影響している気がします。

静岡の四兄弟、下の子が入ってくる毎に、
まず、新入りのすぐ上の子が意識を持つようになりました。
自分が稽古してきた中で、叱られたこと、注意されたこと、
出来ていない(当たり前なのですが)新入りの弟を見てまず、気づく。
「これっていけないんじゃあ?」
「こうしなきゃだめだよな」
そして弟を諌め始める。
「こうしろよ、ああしろよ」
「こうしちゃだめだよ、こうやるんだよ」

あれあれ???
いままで、さんざん自分が先生に言われてきたこと、
メンバー最年長と4人兄弟長男が静岡の二柱
そっくり弟に言ってるよ。
自分も出来ているのかもあやしいのに。
と、思って様子を見ていると、
あらあら、どうしちゃったのかしら?びっくり!
上の子は今までにない程、しっかりとして、
稽古を受けているではありませんか。
「前から自分はこうでした」と言わんばかりに。
目をみはるほどの変わり様に、大人は唖然!
4人もいるものですから、
順繰りに、儀式のように、
このようなことが行われてきました。

ここはたまたま4人兄弟が、意識的ではなく、
本能のままに無意識で行動してくれたおかげで、
とてもわかりやす事例を作ってくれました。
こういったことは、決して兄弟でなければできないことではありません。
この好循環を生み出すためには、地道な日々の積み重ねが必要です。
ということは、その循環に支障をきたしていることを感じたら、
それを元に戻すまでに、倍以上の時間と労力を必要とします。

伝統もそうです。
一日やそこらで出来上がったものではなく、
長い年月をかけて精査され、淘汰されてきて残ってきたものです。
そこには必ず意味があります。
せめて自国に残されてきた伝統を知ってほしいと思います。
そして、願わくばそこから大いにを学び、新たな時代を創り出してほしい。

謡隊だけではなく、日本のすべての子どもたちに、
先人たちの大いなる知恵を平等に享受してほしいと節に願っています。

2012年2月11日土曜日

水巻町の奮闘 ~砧の里・水巻町ふれあい能~ [水巻謡隊][水巻・こども謡隊]

謡隊のお約束、円陣組んでいざ!出陣
先日、福岡県は水巻町での公演が
実施されました。
昨年7月に、結成した
[水巻謡隊][水巻・こども謡隊]も
無事に発表を終え、
公演は大いに盛り上がり満席御礼!
子どもたちは「鶴亀」、大人は「土蜘」
今までで最高の出来栄えで、
目標達成をを最高地点に引き上げました。


水巻・こども謡隊
水巻謡隊










ここでの公演は、能楽謡隊の公演形式の手法の一つ、
第一部に謡隊の発表を盛り込む市民参加型普及事業、
第二部にプロの方々による能の鑑賞で本物体験
という運びとなりました。
そして、今回のもう一つの目玉は、
第一部の創作舞台「砧の響き」でした。
水巻にある「砧姫伝説」をもとに、
特別に脚本を書き下ろしました。
能を軸に地元の猪熊太鼓の子どもたちの演奏、
地元の方による伝説の語り、
そしてこの地に古来より伝わる〝砧のリズム〟を復活させ、
それを演出に盛り込んだ、水巻のための舞台です。
それについては機会を見て、改めてお話したいと思います。


「砧の響き」より
みて、きいて、やってみる!五感フル活動
能楽謡隊恒例のワークショップ










とにかく当日は、舞台から会場至る所、全員てんてこ舞い。
やれ着付けだ、準備だ、お手洗い行ったか?ごはん食べなきゃ!
謡隊のみなさんは待ち時間も多く、緊張もあり、
かなり大変な1日となりましたが、
とにかく、素晴らしい出来でしたので、
いろいろやったかいがあったのではないでしょうか。
それを支える裏方スタッフはそれ以上に大変だったかもしれません。
みなさま、お疲れ様でした。


舞台の前の貴重なショット!左より
従者:金森晋隆氏 シテ:佐野登氏 頼光:和久荘太郎氏

第二部の番組は、
・舞囃子「砧」 武田孝史
・狂 言「附子」 野村萬斎
・能「土蜘」 シテ:佐野登、頼光:和久荘太郎、
小蝶:山岡晴美、従者:金森晋隆
ワキ:福王和幸、間:野村萬斎
<囃子方> 
笛:森田徳和 小鼓:飯田清一 大鼓:白坂信行 太鼓:吉谷潔

明るい未来の力強い躍動を感じる、水巻の公演。
地方のどんな町、小さなコミュニティでも、思いがあれば、
無限の可能性を生み出すことができる、
改めて実感する日でもありました。
謡つながりの能楽謡隊
みなさんの〝わが町〟〝わが故郷〟はいかがですか?


2012年2月4日土曜日

稽古始め便り[鳥栖]

稽古始め便りの最終便は鳥栖で迎えました。
公演に向けて一致団結!
こちらは、3月10日(土)に発表を控えております。
能楽謡隊の次世代育成企画公演であり、
鳥栖アートジャンクション実行委員会の
創造的文化事業、
「―伝統の創造力―能楽事始め」
昨年から始まり、2回目となる今年のテーマは、
「羽衣」
鳥栖こども謡隊が前半部分を謡で、
後半部分を鳥栖謡隊が地謡を担当し能公演となります。

大変限られた予算は、
この活動にご理解していただきました
「伝統の創造力―能楽事始め」
鳥栖市、協賛企業様、
そしてチケットをお買い上げのお客様、
それぞれのお立場からの
多大なるご協力で成り立っています。
そんなこんなのやりくりと最大限の知恵をふりしぼり、
先生にはおんぶにだっこ状態ではありますが、
出来うる限りの質の高い舞台と、
参加型の事業をめざし、公演を実施します。


この日にちょうど公演のチラシとポスターが
納品されました。
当日配布のパンフレットは現在制作中、
それに掲載する写真撮影をしましたので、
ここでちょっとお見せいたします。

鳥栖は昔から交通の要衝、ジャンクションのまちです。
人が行き交い、物が流れるクロスポイント、
そこには自然と賑わいが生まれ、独自の文化を醸成します。
日本の伝統を基軸に、
感動の共有と共感、交流を広げ、
鳥栖の文化の創造と原動力を構築する…
これが「鳥栖アートジャンクション」のミッションです。

ぜひ!鳥栖に観光がてら、公演にお越しください!!
会場は鳥栖駅から線路を渡ってすぐ、
今年J1昇格のサガン鳥栖のベストアメニティスタジアム隣接
サンメッセ鳥栖ホールにて開催です。
http://www.tosu-zaidan.or.jp/archives/category/facilities/sunmesse
(JR鳥栖は博多駅から特急で約20分)
鳥栖市HP http://www.city.tosu.lg.jp/


チケットのお問合せは
nohgaku.utaitai@gmail.com
一般:2,000円、中学生以下1,000円
(当日は500円増し)