2010年12月31日金曜日

継続の力

今年もあとわずか。
振り返ると、怒涛の如く過ぎ去り、走り続けた一年でした。
この謡隊も実質の継続の年となり、各地域でその形態が模索されましたが、
どれ一つとして同じ形なく、その土地ごとの謡隊があることは、
改めて客観的にみると、大変おもしろいものだと感じています。
その違いが、果たしてその土地のお人柄の表れかどうかはまだわかりません。

とにかく毎回毎回、様々な事件や出来事が絶え間なくに起こることは、
大変なことではありますが、我々を成長もさせてくれました。
年を重ねるごとに強く感じることは、謡隊目指すところの志と、
時代の流れが急速に距離を広げていることです。
この先、近い将来、謡隊で伝えている「伝統」の意味が理解できない、
価値を感じない若い人々が世の中の占有率を高めていくのだろうと感じています。

デジタル化の波は強烈で、猛烈な速さで人間の生活に入り込んでいます。
効率化の社会、消費型の生活…。
どんなにあがいても、きっとこの時代の流れに逆らうことは無理でしょう。
時に、どんな危機感を持ちながらやっていても
無駄に終わってしまうことに恐れてしまいます。

何の意味があるのだろう?
こんな思いをしても理解してくれる人がいったい何人いるのだろう?
すべては無駄なのではないか?
いったい何が残るのか?

強固な意志があっても、迷うのは当然ですし必要なことでしょう。
なぜなら迷うことで、より深く掘り下げて考えることができるからです。
迷った後、どうするか?
やはり原点に戻ることではないでしょうか。
さんざん考え、複雑になってしまったことをシンプルに戻すのです。
戻ると次の道が見えてきます。
やめてしまったらそこでお終い。
中途半端が一番よくない。

人間は生き物です。
決してデジタル化はできません。
それとも、そんなバーチャルな世界がお好きですか?
この波の中で育っているこどもたち。
一体全体どんな大人になり、どのような日本をつくっていくのか?!
誰にもわからないのです。
だからこそ、この過渡期である現在の大人の判断が非常に重要であることを、
特にお子さんを実際育てていらっしゃる親御さんたちに感じてほしい。
大いに責任の重大さを感じて下さい。

迷った時は、謡隊にどうぞ。

2010年12月14日火曜日

子どものモチベーション

子どもは基本的に未熟なものです。
考えてみれば当たり前のことですね、成長の段階ですから。
身体はもちろんのこと、精神面にいたっては大人ですら未熟なところは多々。
どんなに年を重ねて様々な経験をしても日々学ぶことを人間は一生し続けています。
生物とはそういうものなのかもしれません。

大人が未熟であっても、はっきりしているのは、子どもより未熟ではない、ということです。
さらに、未熟な子どもには導きが必要です。
その導きの先頭に立つのは、親ですね。

子育ての中で、最近よく聞く言葉は「子どもがやりたいものをやらせたい」です。
良き時代となりました。
一昔前では、職業の自由すらなかった日本です。

さて、みなさんに問いかけです。
「子どものやりたいもの」ってなんでしょうか?
そして子どもの「やりたい」の価値判断の根拠は何でしょうか?
それは常に定まっているものでしょうか?

逆に問います。
「子どもの嫌がること」ってなんでしょうか?
子どもの「嫌がる」の価値判断の根拠は何でしょうか?

普段の生活の小さなことから将来につながる大きなことまで、
対象は様々で、中々一概には申せません。
今の時代に逆行しているかもしれませんが、
謡隊では子どもが嫌がっても、必要なものがあると考えています。
具体的にそれは、正座であったり、きちんとすることであったり、「我慢」であったり・・・。

時には子どもにとって不条理な課題があってもいいのではないでしょうか。
とにかくやってごらん。
それが問題解決の第一歩、踏み出さないとなにも生まれはしないし、
物事は進まないのです。

大人もそうですが、子どものやる気には波があります。
今日なくても、明日はある。
今日あっても、明日はない。
大変表層的なものに過ぎません。
「軸」を支えるのは親の役割です。
子ども独特の「波」に翻弄されないようにご注意下さい。

2010年11月10日水曜日

おぶせ・こども能 発表!


長野県の小布施町では毎年秋に芸能祭が開催されます。
小布施のこどもたちは、必ずそこに参加して日頃の成果を町の方々に観ていただきます。
今年で50回をむかえる芸能祭は町の方々の文化活動の発表の場です。
途中でご挨拶された市村町長のお話しでは、町の文化協会は終戦の年に設立され、
今年で65周年とのことです。
終戦の混乱期、食べるものも満足にない状況下において、
先人達の努力により現在に至っているそうで・・・。
人間の営みにおいて、文化がライフライン同等に存在していた小布施町には頭が下がります。

こどもたちの発表は上々!
前日のリハーサルまで少し不安が残るところがありましたが、見事に吹き飛ばしてくれました。
見事な協同作業でした。

先のブログでもご紹介いたしましたが、小布施では「お肴謡」(通称:北信流)という
宴席の中締めで行われる盃事の儀式が生活文化として残っています。
そこでは小謡(謡の短い一部分)をお肴に盃を差し上げるため、
こどもたちの普段のお稽古では、小謡を中心にをどんどん覚えていきます。
今年は今まで教わった謡すべてをメドレーで発表しました。
かなりのボリュームなんですが、こどもの記憶力の素晴らしさにはいつも驚かされます。

今年は芸能祭の一週間前に東京の宝生能楽堂でも発表をしました。
全員は参加できませんでしたが、初の能楽堂デビューです。
発表の場はこどもたちに多大なる経験値をもたらし、飛躍の成長を遂げます。
ただし!これには必要不可欠な要素があります。それは・・・
日々の積み重ねに他なりません。
それがあるからこそ、発表という場で花開くことが可能になります。
また、そこには「やる気!」というエッセンスが非常に重要です。

小学6年生から年少さんまで、こどもたちは無意識でしょうが、
互いを思いやり、力を合わせやり遂げました。
この小布施のこどもたちは、とにかく「いい奴ら」なんです。

2010年10月7日木曜日

会津の侍

福島県は会津若松市に行ってまいりました。
ここでも謡隊活動が始まり、何やらとても面白そうな取組みが始まります。
会津は侍の町。
「会津侍City」という商標登録を町でしたとのことです。
この町のコンセプトに基づき、「会津侍City塾」が始まりました。
基本は興味関心のある方ならどなたでも参加OKです。
集まった方々は、親子参加中心に、祖母孫参加もいらっしゃいました。

会津若松市には、最近能楽堂が新しく造られました。
半野外の建物で、大変立派なものです。
「会津侍City塾」はそこで、普段のお稽古から発表までを行います。
子どもたちは、全員男の子!
会津では、侍がかっこいい!
前半に論語の素読と講義。
後半は謡隊活動。
先日の開講式では、恒例のワークショップを実施し、充実した初回を迎えることができました。

2010年9月15日水曜日

いわきの謡隊

いわきは福島県です。
以前の市町村合併で、とても大きな町になりました。

ここではこども謡隊が昨年より始まりました。
いわきの最大の特徴は、人数が多い!
こちらとしては大変嬉しい限りです。

普段のお稽古は、平といういわきの中心となる地区で実施していますが、
車社会とはいえ、常磐道のインターを2つも3つも乗り越えて、
わざわざお子さん連れていらしてくださる方々が、
結構な人数いらっしゃるので、始めはびっくりしました。
熱心な親御さんが多いという印象があります。
そうしますと、こちらといたしましても、俄然ヤル気がでます。

「教育」とは?
謡隊の教えの中でよく出てくるお話の一つです。
「教え、育つ」
教える側、育つ側、両者がいないと成り立たず、
植物が育つのと同じく、育つ力は本来備わっている。
どの様な養分を与えるかで、できる作物が違ってくる。
いい教え、いい導きがこどもには必要である。

ここで大事なことは、「教わる」とは受け身ではだめですよ、
ということ。
そして、こどもには必ず教えが必要ですよ、
ということ。
当たり前のことですが、順序が大事です。
きちんと教えないと、きちんと育たない
ということです。

まずは家庭から。
親の教えはそのこどもが親になった時にわかってくれればいい。
「いつかわかる」
そのぐらいの構えで、尚且つ一生懸命に。
きっときちんと育ってくれます。

今年のいわきの発表は、
スペシャルゲストとのコラボレーション企画!といわきの地域文化の掘り起しを、
継続していく上で併せてやっていきたいと考えています。

2010年9月2日木曜日

in 小布施

「小布施町」 おぶせまち
ここにはとびっきりの子どもたちがいます。
長野県、北信地方、小布施町。
北斎と栗と花のまち! 小さな町ですが、素敵な町です。

現在、年少から小学6年生までの子どもたちが、
「おぶせ・こども能」なる名称で、バリバリ「謡」をうたいこなします。
その姿は大人顔負け!

もともと小布施のある北信地方は、謡の盛んな土地です。
松代藩が発祥と言われる『お肴謡』と呼ばれるものがあります。
通称「北信流」とも呼ばれます。
どういうものかというと・・・
宴席で中締めに行われる儀式です。
その日に尽力した、またはお客様に対して主催者側が感謝の気持ちを表すために
謡とともに、盃を差し上げます。
それを受けた客は謡とともに謡を返盃するというものですが、
この時に披露する謡をかっこよく!うたうことがステータスです。
例えベロベロに酔っ払っていたとしても、どんなに宴会がエキサイトしていたとしても!
お肴謡が始まると、一瞬にして厳かな雰囲気になり、神妙な面持ちとなります。

宴席で謡うのがカッコイイ!
酔ってきちっと謡うのは、実は結構キツイらしいです。。。

「おもてなし」「思いやり」がお肴謡の大事な心。
小布施では謡隊のコンセプトと、北信流の精神との絶妙なマッチング、
そして、この町に欠かせない農業が一つの軸となって
地域独自の文化が再生しつつ産声もあげています。

子どもたちは着々とレパトリーを増やしながら、
年一回の町の芸能際で発表しています。
昨年は静岡で実施された国民文化祭にも出演しました。

2010年8月23日月曜日

鳥栖謡隊と鳥栖こども謡隊

8月21日(土)は佐賀県は鳥栖市にある謡隊のお稽古でした。
こちらの謡隊、元祖謡隊です。

「能楽謡隊」は5年程前より、能楽ワークショップの手法として生まれました。
「謡」を「昔からの日本のうた」として身近なものにし、
誰でも気軽に謡うことができることを一つの目標としています。

その手法を最大限に活用して、地域活性化と文化力と教育力の強化を図るものが、
各地で結成される「〇〇謡隊」と命名されるグループです。
謡隊のコンセプトははっきりしていますが、
実施する場所、各地域事情やその土地の文化歴史、風土により、
その土地ならではの謡隊が生まれ、育っていきます。

育てるのはその土地の参加者の方々です。
そんなところから、この鳥栖は「鳥栖アートジャンクション実行委員会」を立ち上げ、
今年度から謡隊活動を再始動をしました。
といいますのは、2008年、2009年とまちがかりで、大規模な催しを実施しております。
(またの機会にご紹介します)
2010年は市民レベルでの独り立ちとなりましたが、
過去2年間で有力な人材が掘り起こされ、育成され、規模は小さくなりましたが、
かなり濃密になった謡隊です。
運営に携わり動かしていくのは、参加するだけでは得られない経験と仲間ができることを
実証している鳥栖の方々です。

またゆっくりご紹介しますね!

2010年8月18日水曜日

羽衣謡隊を結成! in 静岡市

8月初旬に「羽衣謡隊」を静岡市で結成しました。

全国的にも景勝地として有名な静岡市清水区の「三保の松原」
ご存知でしょうか?
能「羽衣」の舞台になっている地であり、
羽衣伝説でも有名なところです。

三保の松原には伝説の話に出てくるとおり、
天女が羽衣をかけたとされる松の木、「羽衣の松」があります。
その松が樹齢650年を超え、20年前からの腐朽が進み瀕死の状態のため
以前より選定されている新羽衣の松へ世代交代を数百年振りに実施されることになりました。
そのお披露目イベントを、
三保の海岸で毎年実施されている「三保羽衣薪能」と連携実施します。

イベントはライトアップと能「羽衣」による天女の舞と
「羽衣謡隊」のコラボレーション舞台が展開します。

富士山フルサイズと伊豆半島、海と松を背景に繰り広げられる舞台は
景色だけでも値打ちもの!
ちょうど秋の連休に実施するので、
ご旅行がてらの鑑賞がおすすめです。

10月9日(土)
三保羽衣薪能終演後(午後7時過ぎ~約30分)
静岡市清水区三保の松原
観覧無料
問合せ:静岡市 観光・シティプロモーション課

2010年8月16日月曜日

祝!初ブログ

今さらではありますが、念願のブログを立ち上げました。
メンバーの方々のお知らせや連絡等の実用的な役割もしてもらいつつ、
各地の活動をご紹介もしてまいりますので、
お楽しみいただければ幸いです。

このシステムが全くわかっていませんので、
ご迷惑おかけするかもしれません。
実践しながら慣れていこうと思っていますので、ご容赦くださいませ。