2011年1月29日土曜日

伝統の創造力「能楽事始め」inいわき

1月23日(日)にリニューアルしてきれいになったいわき市文化センター大ホールで
能楽謡隊では初の次世代育成企画公演が実施されました。

四角いあたまをやわらか~く、日本再発見がテーマのこの公演。
単なる謡隊メンバーの発表の場ではなく、
日本の伝統の心を伝承する場、その地域固有の文化の掘り起こしと伝承の場、
本物を体感する場、として観客も舞台側も参加型の「キッチリ」とした欲張りな公演です。

まず、オープニングでは「いわき・こども謡隊」の出演する
素謡「鶴亀」
本番に最高のモチベーションを持ってくるため、先生は段階的に「喝!」入れします。
結果、こどもたちは、最高の出来栄えを舞台で発揮する事ができ、素晴らしいものとなりました。
これまでの積み重ねを十二分に発揮し、表現できたことは、こどもたちにとって
今後の成長における大きな糧となる、貴重な経験になったことと思います。
先生からも珍しく?!最高のお褒めの言葉をいただきました。

今回のいわき公演は、舞台テーマに「羽衣」をすえました。
というのは、能では大変ポピュラーな演目「羽衣」ですが、
そのもととなる「羽衣伝説」、実は世界各地に存在します。
ここ、いわきにも「羽衣伝説」が存在し、民話として語り継がれていますが、
以外と地元の方はいわきの伝説を知りませんでした。
そして、内容が能のそれとは全く異なるもので非常に興味深いお話です。

そこで、福島の語り部、おはなしおばさんこと横山幸子様にご出演をお願いし、
いわきの「羽衣伝説」を語っていただきました。

次に、能と語りのコラボレーションと題しまして、「羽衣」のちょっとした試みに取り組みました。
能「羽衣」の前半部分、天女が羽衣を返してもらうまでのストーリーを
横山様に福島のことばで語っていただき、
その後は、通常の能「羽衣」の舞台が展開します。
大切な自分たちの住むまちの伝承と自分たちの国の伝統のコラボレーションです。

その他にも能楽ワークショップや、いわきで活動する囃子方の先生方が奏でる「和の響き」
こだわるのは本物の体験です。
盛りだくさんの充実した公演となりました。

出演は、シテ方 水上輝和、佐野登、水上優、藪克徳
囃子方 笛:八反田智子、小鼓:住駒俊介、大鼓:柿原光博、太鼓:林雄一郎
語り部:横山幸子
すべていわきに所縁のある素晴らしいプロの方々です。

舞台の裏方から公演スタッフは全て「親力」で保護者の方々が大活躍!
保護者の方も公演に参加、普段やったことのない体験をしていただきました。
こどもたちを中心に、即席とは思えないほどのチームワークが発揮され、
とってもハンドメイドではありますが、みんなでつくる「謡隊」となり、
能楽謡隊の大きなラインナップが生まれた記念すべき公演となりました。


オープニング 素謡「鶴亀」
いわき・こども謡隊

“おはなしおばさん”こと横山幸子さん

「みて、きいて、やってみる!五感フル活動!!」能楽ワークショップ
天女に変身! とにかく盛りだくさんの充実ワークです。

能「羽衣」